新嘘日記39

9月7日(金) ジロウの日記
サブロウに具合が悪いふりして学校をサボるよう指示。
俺はとりあえず学校にいったが、いろいろ気になって適当に仮病で早退する。
ハナコはそわそわしてて、ずっと「もう自分の部屋で寝てた方がいいよ」とか「あたしちょっと昼寝しようかな」とか「あ、宿題やんなきゃ」とか言い続けてる。しかーし、ハナコがそうやって1人になろうとしてるのくらいお見通しだ。誰が逃がすか。ここがそんな甘いところじゃないって教えてやる。俺はな、追われると逃げる、逃げられると追うタイプなんだ!

夜、イチロウ兄貴がハナコを恒例の散歩に連れ出してた。
ちぇっ、カッコつけやがってさ。
俺とサブロウはハナコを見張る義務があるから、こっそりあとをつけた。
そしたら急に兄ちゃんの顔がハナコに近づいたから、ドキッとした。びっくりした。キスしてるように見えた。
あいつら、いつの間にあんなに親密になったんだ・・・・・・

その時ハナコのバカ声がした。
「えー本当ですか!行きます。行きたいです!もう家の中うんざりだったんです」
「面白い夜遊びスポット知ってるから。ついでに、どこか行きたいところあれば、どこでも連れてってあげるよ」
「わー嬉しい!あたし実は、どうしても行きたい場所があって」
「じゃあ11時くらいに、部屋にそっと行くから。準備して待ってて」
「はい!」

サブロウに声をかけた。
夜11時、絶対阻止するぞ、って。
暗い草陰で、サブロウがちょっぴり泣いてるのに気付いた。
俺もそれを見て、なんだか泣きたくなった。


新嘘日記38

9月6日(木) サブロウの日記

学校から帰って、ハナコの部屋へおしかけた
カノジョの部屋でだらだらしてるふんいき
ゲームをしてたら、ハナコはだいたんにもねむいなんていいだして
ボクの前でこっくりこっくりしだした

へへっ
ハナコにキスしちゃった

〜〜〜〜

信じられない!
ハナコの日記を見てしまった
だってふつうにひろげておいてあるんだもん
そしたら、もう帰りたい、この家の子になるのがいやだって書いてあって
あわててジロウお兄ちゃんのとこに知らせにいった

ジロウお兄ちゃんは「2人で見はるぞ」と言って
ボクらはハナコを2人でじっと見はった
だっていつ帰るかわかんないから
そしたらぜったいに引き止める

夜中。ジロウお兄ちゃんがボクの部屋へきて
「ハナコを調べる」って言い出した
ボクはねむかったけど、ハナコのためにがんばった
こっそりとハナコの部屋に入るなんてドキドキした
むにゃむにゃ変な声がしたけど、あばたもえくぼだと思った
くふふと笑うとジロウお兄ちゃんがしっと怒った
そうっとそうっとベッドへ近づいてたらジロウお兄ちゃんが
ハナコの松葉づえを遠くにやれば逃げられないと言って
動かしてたら、暗くて転んだ。
ボクも驚いて机にぶつかった
そしたら急に「ウギァーーーーー!!!」ってすごいかいじゅうみたいな声がしてこわくなって逃げた
これはあばたもえくぼじゃないと思う
テラスをつたって自分の部屋にもどって
寝てたふりをした
すごくきんちょうした

あとで家族全員あつめられた時、ジロウお兄ちゃんがこそっとボクをみて
誰にも言うなよって言った
あたり前だよ
ハナコのいびきがかいじゅうみたいだなんて
誰にも言えないよ

新嘘日記37

9月5日(水) イチロウの日記

ハナコちゃんは昨日、こんな状態だというのに家中歩き回って足を腫らしている。まったくもう、どうして黙っておとなしくしていられないのだろう

でもきっと、黙っておとなしくしていられない子だから、いいのだろうな。
そんな風に感じる。

夜、彼女を散歩に連れ出した。
車椅子でというのをすごく遠慮する姿が、妙に可愛かった
乗せてしまえば、黙って連れてかれるがままになってる
ぽつりぽつりと互いのたわいも無い話をして月に照らされてると
ひどく静かで凪いでいた気持ちがざわついた
わざと触れ合うように顔を近づけた
勘違いしてしまいそうだった

新嘘日記36

9月3日(月) ジロウの日記

ヤバイ
半端なくハナコがイカッてる
食べ物で釣ろう作戦も、ハナコが部屋から出てこなくて無効だし、あいつもう自分の部屋のトイレ怖がんねえ

部屋でなんか楽しそうにしてるし、このままじゃきっと帰るとかなんとか言い出すぞ!ヤバイぞ!結婚もしてないのに三行半がつきつけられるぞ!



9月3日(月) サブロウの日記

ハナコが部屋に入れてくれない!
天照オオミカミだ!
部屋の前でおどりをおどってみたけど、五味とアヤナがほめてくれただけだった。2人は恋人どうしなんだ。ボクは知ってるんだぞ

ああハナコ
まるでロミオとジュリエット、たった1枚のとびらで2人はへだてられ、ボクらのあ・・・あ・・・アイ・・・アイは・・・・・・せ き め ん !

全部ジロウお兄ちゃんが悪いんだ!!



9月2日(日) イチロウの日記

ジロウとサブロウがとんでもないことをしてくれた。
ハナコちゃんを骨折させるなんて!
しかしあの2人があんな風にケンカするなんて話は予想外の方向に進んだと言うべきか、ある程度予測していたというべきか・・・・・・

そろそろ限界なんじゃないかと思う
それに、このままじゃハナコちゃん自身が困惑するだろうし

けどさ
けど俺だって腹立つ
だってこういう時俺ばっかりフォローさせられて
おとなしく引き下がれってことか
もうみんな素直に認めたらいいんだ
認めないから悪い
くそ、なんかすごく腹立ってきたぞ
もうこっちだって黙ってるもんか!
黙っていないからな!

新嘘日記35

9月1日(土) ジロウの日記

ハナコの携帯をイタズラしてやった。
何やっても「バーカ」って出るようにした。
メール送っても「バーカ」
着信きても「バーカ」
ふざけた写真も撮りまくった。もうばっかばっか


メモリを盗み見てやった。
モテないくせに意外に男の名前があったりして、なんか腹立った。
ハナコのくせに生意気
全部消してやろうかと思ったけど、一応思いとどまる。
もしかしたらこの中に、ハナコの父さんとか兄さんとか入ってるかもしれないからな。
単純なハナコなら「お父さん」って名前の入れ方すると思うけど
万が一違ったらやだし

よく考えたら、俺、ハナコの名前知らない。
ハナコの家族構成も。
ここ来る前のハナコ。
だって知りたくもなかった。知ろうとも思わなかった。
きっとハナコはここへ来て1ヵ月後にあたる1週間後、出てくだろうし。
っていうかその前に追い出してやろって思ってたのにさ。
大体これまでのハナコたちと同じく普通にやればよかったんだ
あんな小難しい設定いらなかったんだ
なんなんだよクソ

・・・ハナコのメモリには、うちの家族の誰の番号も入ってなかった
かろうじて家の番号だけ
しかも「●●家」とかいれてやんの。意味わかんねえヒトん家かよ
一応お前にとって実家だろ!
それが無性に頭にきて、俺様の番号をありがたくも入れておいてやった
それから・・・
1枚だけ、家族写真を撮っておいた

新嘘日記34

8月29日(土) サブロウの日記

ハナコがボクにないしょでイチロウお兄ちゃんとデートした!
ちょっと目をはなすとこれだ!
今日はジロウお兄ちゃんからボクが守った。ジロウお兄ちゃんがハナコを後ろからそっとつき落とそうとした時ボクがとっさに「ハナコ逃げろ!」って押さなかったら、落ちたくて落ちたんじゃなくつき落とされてたと思う。
ハナコのぼうしの中にトカゲが入れられてたのも、ボクが砂にかえておいたし。

あと、今日のお昼はハナコにボクのお肉を分けてあげた。プリンも。
ビーチでひろった花もそえてあげた。ちょっときざだったかもしれない。

午後はハナコとハンモックで昼ねをして
そうだ。ハナコに詩をうたってあげよう。
何の詩がいいかな。
今日中にしらべておこう


新嘘日記33

8月29日(水) イチロウの日記

サブロウが元気になって一安心。サブロウは時々ヒヤッとさせるから。
ハナコちゃんが頑張ってくれたお陰だと思う。あれは点数稼ぎとかそんなじゃなく、本当にしんからサブロウを気遣い思ってくれたことがわかった。
彼女は本当にサブロウを弟として心配してくれた。それが何よりも嬉しかった。

だから「ご褒美」と称してハナコちゃんを食事に連れ出した。
ジロウやサブロウに見つかったらかなり怒られそうなのはわかってたから、こっそりと。ハナコちゃんはとても緊張していたみたいだけど、会話は弾んだ。彼女は屈託なくよく喋る。思いついたことポンポンポンポン、キラキラと光る水面を飛び跳ねる飛び魚のように言葉が出てくる。その姿がすごく爽快だった。隠し事も、取り繕うことも、体面も何もない。自由。

参ったな。様子見くらいのつもりだったんだけど。どんどんと彼女のことが可愛く見えてきた。
我が家始まって以来の闘いになりそうだ。

新嘘日記32

8月27日(月) ジロウの日記

やっぱりサブロウは熱を出した
だから言ったのに。昨日あれほど安静にしておけって念を押したのに、あいつまた勝手にはしゃいで
サブロウは熱を出すとうわごとがすごい
それで全部わかった。
どうしてサブロウが熱を出したか。
ハナコだ。
魚と泳ぎたかったって言ってたから、それでサブロウは海に入ったんだ。ハナコは魚をサブロウに見せたんだ!
・・・ハナコのせいだ。全部ハナコのせいだ!
ハナコが来てから何もかもがメチャメチャで、狂わされてる!
馬鹿!馬鹿ハナコ!サブロウに万が一のことがあったらお前を許さないぞ。
しおらしくサブロウを心配したって、許さないぞ
ハナコがいない時、サブロウがまたうわごとですごいことを言った
とんでもないことを言い出して、思わず口を塞いでしまった
その時ハナコが丁度戻ってきたから、俺は心臓が止まるかと思った

サブロウのやつ、また、俺が・・・・・・そんなわけあるか!


8月26日(日)PM ジロウの日記

サブロウの様子がおかしい
あれは熱を出す前の兆候だ
そういえば午前中、見当たらなかった
朝ハナコがサブロウのとこに何か持っていってたみたいだけど
それが何か関係あるのか

サブロウを問い質したら、都合悪くなるとすぐこっちの都合の悪いことを言ってきて・・・
馬鹿な!
とんでもないことを言ってきた
とんでもないことだ!
俺が、ハナコを・・・だなんて・・・・・・!
ありえない!!

ありえない!!!


新嘘日記31

8月26日(日)AM サブロウの日記

ママに止められてたけど
ハナコがつかまえた魚と一緒に泳いでみたくなって
ちょっとだけって思って
こっそりと海に入った
不思議なきもちだった

海に浮いてると魚になったみたいだった
魚はいつもこんな気持ちだったんだ
自由に泳ぐってこういうことだったんだ
キラキラの海の中で
キラキラのうろこの魚
ボクも魚に見えるかな

サンゴや貝が見えた
口をパクパクしてみた
口の中にしおからい水が入って
プランクトンを食べた
魚になれたかな

ハナコはどうして
こんなつまらないことを楽しめるのか
ただの旅行にウキウキできるのか
ボクは初めてわかった気がした
ハナコは生きているから
ボクは死んでた
すぐに病気になるからって
生きてるのに死んでた
でもハナコは生きたまま生きてる
全部がハナコの命みたいに
ハナコは魚にもなれるし太陽にもなれる
ボクは何にもなれないまますぎてたのに
ハナコは毎日の全部になって全部の命になれる

ボクもこうしてれば
少しはキラキラになれるかな
キラキラとした命に

だからボクはもう少しもう少しって
思ったよりも長く海に入ってた

新嘘日記30

8月25日(土) イチロウの日記

ハナコちゃんが泣いた
思わず頭をなでてしまった



8月25日(土) ジロウの日記

あの馬鹿!
馬鹿!馬鹿!
泣くなムッカつく!
調子狂う



8月25日(土) サブロウの日記

ハナコが泣いた
どうして泣いたんだろう
ハナコはいつもおこってばかりなのに
ボクのプリン食べたかったのかな
いっつも人のもの食べちゃうからね

ふくものをあげようと思ったら
お兄ちゃんが先にナフキンをあげててビックリした
ジロウお兄ちゃんがあんなことするのを初めて見た
ナフキンを顔に投げつけたことじゃなくて
ハナコの泣いた顔を見てこまった顔で真っ赤になったこと

イチロウお兄ちゃんなんて猫みたいにハナコをなでてて
いつから2人はあんなにハナコが好きになったんだろうって思った
ハナコがお姉ちゃんじゃなくて良かったね

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